リテールベーカリー
私だけだと、私だけが突っ走っているが、気づいたら誰も着いてきていなかったということが起こり得るが、小関さんがいれば従業員をはげまし、一緒に夢に向かって走っていける集団になれるのである。
横澤代表と小関さんの出会いを教えてください。
小関さんとはもう20年を超えるお付き合いになります。
私の主催するパン教室に、小関さんが参加してくれたのが最初の出会いです。その後に、小関さんからお礼のお手紙をもらいました。その文章内容と描かれていたイラストに惹かれことを覚えています。またそれ以上に印象に残っているのが、小関さんの目力、動き、発散するもの、なんというか魂感(たましいかん)のようなものです。ビビッときたその感覚を今でも覚えています。たとえば、本屋さんに入ったときにとある特定の本がパッと目に飛び込んでくることってありませんか?その感覚です。
その当時の小関さんの仕事は今とは違ったのですか?
私と出会った当時の小関さんは、料理教室の出版局に勤めていました。
私の目には、その時の小関さんの状態と職業が合っていないような気がしていました。この人は物書きとして生きるべきだ、そうなれると、映画のシーンをみるような感覚を感じました。その後、私の紹介で、とある先生について物書きとしての勉強をはじめた小関さんですが、いつの間にか勤めていた出版社を辞めていました。なんと無謀なことをするんだと思いましたね。
学歴もあって頭もいいんだけど、馬鹿だなと(笑)
小関さんらしさが分かるエピソードがあれば教えてください。
物書きとしての修業時代の小関さんですが、私からすると「人間描写が浅いな」と感じていました。実際に、小関さんに対して「もっと人間の勉強をしろ」と言いました。小関さんは“学習院大学を卒業したお嬢様”という印象で、経験の幅がとても浅い。世の中には、いろいろな生い立ちの人間がおり、それぞれに性格特性があります。
だから、表面的に見えているその人と潜在的なその人のギャップがドラマになります。ですが、書かれたものを読むと、そのあたりの人間の勉強がまだまだだなと当時は感じたのです。
ところが、その全然ダメな小関さんがものすごいスピードで変化していきました。小関さんが心理学を学び始めたのもこのあたりだったかと思います。小関さんは、変なプライドがなくてとにかく素直。その変化のスピードを目の当たりにして、全然変化できていない私が逆に焦ってしまうくらいでした。
最初のお仕事の依頼は?
どんどん変化していく小関さんは、心理学やコーチングなども深く学ぶようになっていました。そしてその時期は、私がスタッフの育成に苦労していた時期です。
そのタイミングで、一度小関さんにコーチングの依頼をしました。
しかしなんと、「コーチングは本人にやる気がないと意味がない」と断られてしまったんです(笑)
結果を出すための条件が整っていないというプロとしての判断だったのだと思いますが、今でも強く印象に残っています。
実際にはじめてお仕事が成立した時のことを教えてください。
その後、やはり従業員について悩んでいたときに、再度小関さんに依頼をしてみました。そして、ついに引き受けてもらったんです(笑)
仕事は、人と人とが関わり合ってするものです。だから、個の能力が高かったとしても、それがうまく発揮されないケースというのは往々にしてあります。
そこに小関さんというピースをひとつ加えてみると、不思議とうまく組織が機能するようになりました。
これは、会社という組織にとってももちろん良いことですが、うまく能力が発揮されていなかった従業員にとってもとても良いことです。プロと関われるというのは、幸運なことだと感じた最初の依頼でした。
なぜ小関さんに仕事を依頼しようと思ったのですか?
素直だからです。
たとえその時点で知識や経験の不足により十分な対応ができなかったとしても、次に会うときには必ず乗り越えてくる、そういう人だからです。
たとえば、頭が良くて、勉強熱心で、知識もふんだんにあり、それに付随してプライドも持っている専門家がいたとします。
依頼するのであればそういう人に依頼すべきかもしれません。
しかし私は、そういう専門家には頼みたくないなと思いました。
なぜなら、自分が経験したことがないような問題にぶつかったときに、頭の良さや知識でカバーしたように見せかけてくる気がしたからです。これまでも泥にまみれてきていないし、今後も問題にぶつかったとき、泥にまみれることなくなんとなくやり過ごされそうな感覚があるのです。
ですが、小関さんはそうではありません。
うまくかわすのではなく、真正面から一緒に泥にまみれてくれそう、そんな予感がしました。
私のような事業家が何か問題に直面した時、そこは何としても乗り越える必要があります。
たとえばですが、「コーチ」といわれるような職業の人に依頼すると、「答えはその人の中にある」と言って、一定のところ以上には踏み込んでくれないことがあります。それはコーチとしては正しいかもしれませんが、問題を解決したい事業家にとっては何の解決にもならないんです。
しかし、小関さんはそこを踏み込んで問題解決に当たってくれる。しかも、“熱く”一歩を踏み込んでくれるのです。
小関さんの長所を教えてください。
こちらの要望に合わせて柔軟に対応してくれるところかな。
ちっぽけなプライドなんて持ち合わせていないのだと思います。
とにかく素直。本当に素直。これは出会ったころから全く変わっていません。
そして、確実に投げた課題を消化してきます。
私のような事業家の思いをカタチにしてくれる存在といってもいいかもしれません。
パン屋で例えると、
例えば、お客様が食べたいと思ったパンが来店時になかったとします。そこで、お客様のニーズを嗅ぎ取り、次にお客様が店に行ったときにそのパンが新商品として用意されている、そんな感じです。
自分の想いをカタチにしてくれたという感動は、とてつもない価値だと思うんです。
横澤代表は、小関さんをどんな存在として捉えていますか?
私的にいうと「メンタリスト」。
私にしろ従業員にしろ、人の心の領域は、可視化することができません。
日々過ごしていく中で、人はさまざまな領域のできごとに直面します。「会社」における自分のほか、「家庭」における自分、「子供」と向き合っている自分、「恋人」と向き合っている自分、などいろいろな領域に1人の人間は直面しています。
それぞれの領域のそれぞれの人間関係に対して1人の人間は直面しているわけですが、すべては影響を及ぼし合います。歯車が狂った時に、自分で原因に気づき自己解決できればいいのですが、それはかなり難しい事です。例えば、「家庭」において何かあったとき、「会社」という領域にも影響を及ぼしてしまったりします。
この状況に気づきを与える人が「メンタリスト」です。
問題を抱えているその人を起点に、問題の根源をひも解いてくれるようなイメージです。
問題が表面的に表れている箇所と、その発生原因となっている箇所は、通常異なります。その発生原因を突き詰め、改善に導いてくれる存在なのです。
発生原因は、会社ではなく、親子関係や過去のトラウマにあるかもしれません。そこをひも解いてくれる存在が、私流にいうとメンタリストたる小関さんなのです。ひも解いてくれると、問題が大波になる前のさざ波程度のところで収まります。
小関さんを選んだ決め手は何ですか?
1つ目は、相談しやすい人柄です。
2つ目は、変なプライドは持たずに、とにかく親身になって対応してくれるところです。
3つ目は、熱い人間なのに対応はとても冷静なところです。このバランス感覚は見事だと思います。
小関さんの良いところを教えてください。
熱意と柔軟性、それと勉強熱心なところですね。
お客様の困っていることに関して、
「それは私の領域ではありません」
というようなことは絶対に言わないんです。
その場ですぐに解決法を見いだせなかったとしても、しっかり調べて解決法を持ってくる。
だから、私と私の従業員と小関さんが「ともに成長する」という状態になるんです。
こんなに懐の深い先生はそうはいないと思いますよ。
小関さんの良くないところを教えてください。
えーと、熱いところが時にうざいですね(笑)
それと、時々せっかちなところがあるかもしれません。
小関さんが関わるようになって、どのような変化が起きましたか?
小関さんが、私と従業員の間に入ってくれたことで、従業員が反発しなくなりました。
従業員1人ひとりが自分自身に目を向け始めたのだと思います。自分で自分自身を振り返るようになったといいますか。
例えば、社長と従業員が直接話をすると、どうしても反発が生まれてしまいます。
そこに、小関さんが間に入ることで、従業員が素直になりました。社長への反発という形で表に出ていたものが、自分自身に対する意識へと変化しました。
すると、今度は職場の仲間に意識が向くようになり、仲間に対して思いやりをもつようになったのです。
職場の雰囲気が変わりました。
小関さんには、対個人のセッション(従業員との個別面談)とともに、グループセッション(複数人の従業員とのグループ面談)もやってもらっていますが、すごく良い効果をもたらしてもらっています。
良いスパイラルが生じていますね。
「女性活躍」など現在の社会環境に関連して思うところはありますか?
ひげのぱん屋は、従業員のほとんどが女性です。
女性が多い職場環境にある経営者の方は、ある意味とても難しい時代になっていると思います。男性経営者から女性従業員に対して何かを言うと、すべてがパワハラ・セクハラになりうる時代です。
だから、男性経営者が女性従業員とどう関わればよいか難しい面がとても多いです。
男が男である以上、女性の感情や感覚をリアリティをもって理解することは不可能です。それは厳然たる事実です。
そこに女性メンタリストたる小関さんがいるととても心強いです。
間に入ってくれる女性がいることで、過度に甘やかすわけでもなくバランスの良い対応をすることができます。職場では、物事をストレートに伝えないといけない状況があります。そのようなときに、間に入ってもらうととても助かります。おそらく同性だからこそ腹を割って話せる、ということもあるだろうと思います。このメリットは強く感じます。
従業員に同じことを伝えるにしても、「誰が言うのか」で全く結果が異なります。
その選択肢が増えるということは、男性経営者にとってはとりわけ大きな効果があるのではないでしょうか。
横澤代表が描くこれからのひげのぱん屋と小関さんの関係性はどのようなものですか?
経営者というものは、頭の中に壮大な未来を描いているものです。
私もその例外ではなく、その思い描く未来に向かって突き進んでいます。
すると、ステージが次から次へと変わり、高くなっていきます。
一方で、従業員は、その経営者の描いている未来、次から次へと変わっていく未来を常に理解できるかといえば、そんなことはありません。当然です。
このような状態だとなると、従業員が途中で疲れ果ててしまったり、今の自分の状態で良いのかと心が揺れてしまったりします。
その間を取り持ってくれるのが、小関さんという存在です。
私だけですと、私が突っ走った結果、気づいたら誰もついてきていなかった、ということが起こり得ます。
そこに小関さんがいれば、従業員を励まし、一緒に夢に向かって走っていける集団になれるのです。
小関さんの未来のお客様へ向けてのメッセージはありますか?
一般的に、総務・経理・人事・製造など専門的な部署はたくさんありますが、社員のメンタル面をメンテナンスする専門の部署というものはありません。特に、中小企業にはありません。しかし、これからは必然の時代になるのではないかと思います。
心(メンタル)の部分に関しては、表面的に見えているものは氷山の一角にすぎません。潜在的に眠っている部分は多くあり、それが何らかの形で表面化したときの影響は、中小企業ほど大きいものです。
状況がよくわからないまま、従業員自身も会社自身も落ち込んでいってしまうような状況にしてはいけないと思います。
また、専門性をもった人材を、雇用ではない形で社外人材として使えるというのもとても大きなメリットかなと思います。社外プロを置くというのは、これからの時代にもとてもマッチしたカタチかなと思います。